実際その人と会って、話をして、会話の中で相手の笑顔を確認したとき、どこに視線が行くかというと、
それは「目」なのである。だから、この人って笑顔がステキということは、とりもなおさず笑った目が
かわいかったり、温和だったり、色っぽかったりするのである。もちろん、笑うときには笑い皺がでた
りもするが、それも魅力だし、その目と連動して、笑った鼻もかわいいということさえもある。
ところが、同じ人が、写真に写ったとして、その笑顔を見るとき、実際とはちょっと見るべきポイントが
異なってくるように思う。写真において笑顔を見るときは、私たちの視線はまず相手の口もとにいくことが多いのである。もちろん、目もとにも注意はいくけれど、それよりは口もとである。
「あら、この人って案外歯茎が目立つわね」とか、「歯並びがキレイすぎ、直したのかな」とか、
「口角が下がって老けて見える」などなど。また、口元に連なる頬にも目は行き、やれ頬がこけているだの、
ふっくらしすぎだの、どちらかというとシビアな見方になるように思う。
しかしまた、どうして、実際と写真とで、見るべきポイントが違うのだろうか。
それはおそらく、実際会って話しているときは自然の流れの中にいて、相手の表情を楽しむし、その表情は
もっとも目に表れるからであり、一方、写真を見るときは、いわば顔のかたちや美しさを評価するのであり、
笑顔の場合、口の開け方のほどよさがその美しさを決めるからなのではないか。
よく芸能人のポートレイトで、笑っているのに目だけ思い切り見開いているのを見るけれど、本当はありえない不
自然さも写真になるとあまり気にならないのは、そんなところにわけがあるのだろう。
かくいう私も、いつも写真の笑顔には反省することしきりである。笑いすぎて、歯茎が出すぎて、まったく無防備な感じ
そのもの。理屈はわかっているのだから、実際と写真とで笑顔を使い分ければいいものを・・・・・。
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| エッセイスト、政治コラムニスト。1953年生まれ。慶応義塾大学卒業後、女性誌編集部を経て渡米。NY大学行政大学院修士課程修了。近著は『30代は女のベストシーズン!』(扶桑社)、『「だれかいい人いない?」といっているあなたへ』(講談社)など多数。
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